それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「あ、あれですけど」
わたしが指差すと、根岸先輩はずかずかと教室に入り、わたしのカバンを掴んだ。
「行くぞ」
そう言って根岸先輩は、なんのためらいもなく腕をわたしの腕に絡ませた。
え、え、え?
ちょっと!!
腕を組まれながら、廊下のど真ん中を同級生の視線をイヤというほど浴びながら歩く。
「あ、あの、ちょっ……」
やだ、ちょっと、みんな見てるし。
めちゃくちゃ目立ってるんですけど!
有無を言わさずぐっと腕を組んで歩くさまは、色っぽい感じはまったくなく、完全に「連行」だった。