それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「あの時ね、一緒についてきてもらったの」
「え?そうだったの!?」
そうだったんだ。
わたしはてっきりあやめちゃんが一人で乗り込んでいったのだとばかり思ってた。
「うん。あたし、言おうとしたんだけどね、なんだか言いそびれてしまって。
……なんか、ごめんね?あたしが一人で乗り込んでいったって思ってたでしょ?」
「あ、それは、うん。そう思ってた」
早とちりしたことがなんだか恥ずかしくて、肩をすくめた。
だけど。
たしかに、そう思っていたけれど。
わたしのために乗り込んでいった事実は変わらない。
むしろ、一人で乗り込む、なんて無茶してなくてよかった。