それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


「それからだよ」


そう言って、先輩はわたしの顔を見つめた。


「え?」




「お前のことおもしれぇって思ったの」




「うそ……」




思わず口を手で覆ってしまった。


「ドジだし、ころころころころ表情変わるから」


そう言って根岸先輩はくすりと笑った。


「じゃ、じゃあ、わたしが初めて美術室に見学に行った時……」


すると、先輩はくくっと笑い。


「ああ。あの時は本当にびっくりした。マジかよ、って思った。

 でもこれはおもしろいことになるかもって思って、無理やりにでもモデルさせたんだ。ほんとはあの絵にモデルなんて必要なかったんだけど」


そこまで言って、先輩は苦笑した。

< 278 / 305 >

この作品をシェア

pagetop