それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「それからだよ」
そう言って、先輩はわたしの顔を見つめた。
「え?」
「お前のことおもしれぇって思ったの」
「うそ……」
思わず口を手で覆ってしまった。
「ドジだし、ころころころころ表情変わるから」
そう言って根岸先輩はくすりと笑った。
「じゃ、じゃあ、わたしが初めて美術室に見学に行った時……」
すると、先輩はくくっと笑い。
「ああ。あの時は本当にびっくりした。マジかよ、って思った。
でもこれはおもしろいことになるかもって思って、無理やりにでもモデルさせたんだ。ほんとはあの絵にモデルなんて必要なかったんだけど」
そこまで言って、先輩は苦笑した。