それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「本当は、優しくて……」
「うん」
「格好よくて……」
「うん」
「わたしの……好きな人……」
だんだん声が小さくなってしまっていた。
自分の言っていることがあまりに恥ずかしくてうつむいていると。
先輩は突然わたしをぐいっと引き寄せた。
そして、すっぽりと先輩の胸の中に収まっているわたしをぎゅっと抱きしめ。
「一番大事なの、忘れんなよ」
わたしの頭に顎をのせて呟いた。
「え?」
ふと、見上げると、先輩はにやりと笑って。
「やっぱ内緒。これから嫌でも思い知るだろうから」
そう、耳元で囁き。
それから。
先輩は熱のこもったキスを何度も繰り返した。
fin