それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「今週末の花火大会はさすがに本彼だろ。なあ?」
「ホンカノ?」
「本命の彼女だよ。純ちゃんは行かないの?花火大会」
「え?俺?」
「彼女とか、いるんでしょ?」
その言葉にあいつの顔が浮かんだ。
だけど、大人なこの場の話題に出てくるには、あいつはまだまだ幼すぎる。
「一応」
「じゃあ、その日の晩は熱い夜を過ごすわけだ」
……ほら。
どうせこういうろくでもない展開になるんだから。
というかそれ以前に、俺、花火大会に行くって一言も言ってねぇし。
「誘ってやれば?」
突然後ろからおやじさんの声がした。
「あの子、絶対喜ぶと思うよ」
「あ、ああ……」