それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜



海岸通りには露店が所狭しと立ち並び、人でごった返していた。


あいつは露店一つ一つに目を輝かせながら「おいしそう~」だとか「かわいい~」とかを繰り返している。


なんで女はなんでもかんでも「かわいい」って言うんだろう。


これってそんなにかわいいか?ってものまで、女にかかればなんでもかわいくなってしまう。


女のそういうところは正直理解できない。


だけど、隣りで嬉しそうにしているこいつを見ていると、ま、いっか、と思ってしまう俺は……重症なんだろうか。


「わぁ!かわいい!」


ひなが立ち止まったのはよくあるシルバーアクセサリーのお店だった。


指輪やネックレスがずらりと並べられている。

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