それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「お前、冗談もほどほどにしろよ?
俺がやきもちだって?意味わかんね」
そう吐き捨てると、眉間にしわを寄せたまま、キャンバスに向かった。
ああ。
この機嫌の悪さは今まででワースト1だ。
最悪だ。
わたしは。
よほど困惑した表情をしていたようで。
「ごめん。よけいなこと言った」
と、生川先輩がわたしをまっすぐ見て言った。
わたしは、ただ首をぶんぶん横に振るしかなく。
生川先輩が悪いわけじゃないのに。
美術室には、根岸先輩の荒々しい鉛筆の音がやたらと響いていた。