カラス君と黒猫さん2
「・・・アイアムマン!コイツモマン!ワッツ?!」
「頭大丈夫?さっさと運んでよ」
「来るんじゃなかったー!!」
「そんな顔して叫ばないでよ、恥ずかしい」
カラス君の首元に腕を回した。熱い。
力を入れて、上体を起こさせる。
「・・いいよ、カラスは連れてってやる。その代わりにお前明後日の仕事2時間プラスな」
「ええー?2時間?」
「じゃないと俺は帰る」
「分かった!仕方無いなぁ、2時間延長ね」
そう言うと雅はそこそこ満足そうな顔をして、カラス君の上体下に手を回し、足を支えて持ち上げた。
「お姫様抱っこだ」
「この状態で背負えるなら背負いたいぜ」
「写メ撮っていい?・・・あ、携帯無いや」
「ばか、黙って着いて来い」
不機嫌そうな顔をしながらも、保健室を出る雅。
がらの悪い男が、寝ているカラス君をお姫様抱っこしていると、何だか妖しい。
「あー初めて男抱き上げた」
「はじめて見た」
「授業中で良かったぜ、本当」
発熱者が居る前でそんなに言えないけど、この状況が楽しい。
悪たれる雅と、カラス君。
新鮮だ。
雅のポケットから勝手に車の鍵を出して、指で遊びながら私は思った。