カラス君と黒猫さん2
チャイムが鳴ったと同時に、広げていた教科書を勢い良く閉じ、机の横に掛けてあったビニール袋を持って教室を出た。
「おい黒音ぇ!挨拶!」
「ありがとーございましたー!!」
「・・・・・・・・・・ったく・・・・・・・・」
クラスメイトの私を見る目が生暖かい。どうせラブラブだなぁとか思ってるんだ。
教室を出た途端、廊下の寒さが身に凍みた。
廊下を少し渡って、階段を駆け上がる。
そして渡り廊下に出る。
「カラス君!」
「早かったね」
4階の渡り廊下って言うのに、その人は平気でそこの壁に座って私を見下ろした。
カラス君。本名、篠加羅須王くん。
理解者であって、彼氏であって、友達である人。
「行こうか」
「あ、今日はいつも通り音楽室倉庫で食べようよ。図工室飽きた」
「そうだね」
カラス君の温かい手が私の手に絡まる。
この人は外に居ても全く手が冷たくならない超人なんだ。
「ずっとカイロ握ってたから温かいでしょ」
「カイロか」
「え、何期待してたの」
「夢と希望。」
「何それ」
カラス君が優しく笑った。