カラス君と黒猫さん2
「・・・・・・・・・・・・」
携帯の着信画面には、“雅”の文字がはっきり出ていた。
「チッ」
「カラス君の舌打ちはじめて聞いたよ」
放置していても鳴り止む気配は無かったから、仕方なくその着信に出る。
「・・・・・・はい」
『あ、黒猫ぉ?お前すぐに電話出ろよー。俺待ちくたびれちゃっ』
私はそのどうでも良い声を聞くと、すぐに携帯を切った。
「どうしたの黒猫さん?」
「間違え電話だったみたい」
「でもさっき“雅”って出てたよね」
「カラス君熱出てるから幻覚でも見たんじゃない?」
その瞬間、また携帯のバイブが鳴り出した。
「・・・・・チッ」
「黒猫さんも今舌打ちしたよね」
携帯を開くと、やっぱり雅。
「・・・・・・・・・はい」
『うおおおい!!なんで切った?!カラスもお前もやること同じだな!』
「だってどうでも良さそうな内容だったから」
『電話してすぐに重たい話する奴なんて居ないだろ?!』
「はいはい。で?何?」
受話器の向こうでは、サックスが響くジャズが流れている。
毎日あっちは昼か夜か分からない所なんだな、と実感した。