カラス君と黒猫さん2
その日は、暑い真昼だった。
窓を見ると、道路で陽炎が踊っている。
私は陽炎が不気味で、小さい頃から嫌っていた。
『父さんが倒れたって・・・・・・』
電話を置いた母さんの顔は、今でも頭にこびり付いている。
暑い、じめじめした嫌な夏。
不気味なくらい涼しい病室に入ったとき、私は言葉を喋れなかった。
『アルコール中毒です。体内に消化しきれなかったアルコールが大量に確認されました。』
淡々と、重いように喋る医師が話したのは、紛れも無い“死因”だった。
白いベッドに横たわるのは、動かない、父。