カラス君と黒猫さん2







それからだった。

父が死んでから、3ヶ月。



家族の“会話”というものはほとんど無くなってしまった。

私も何となく家に居辛くなっていた。






そして、私が中学生の時。




『琴羽』


『なに、お兄ちゃん』



その日も蒸し暑く、じめじめした夏だった。


家族三人の中で、“部外者”である兄は、とうとう激情を自分で抑えきれなくなっていた。



『俺、もうこの家には居たくない』

『・・・・・・・・・どうして?』


兄の悲痛な思いを受け止めるには。


『もう、この空気に耐えられないんだ・・・』



母と兄が血が繋がっていないという事は、この時初めて知らされた。



兄と母にしか分からないこの複雑な気持ちを分かってあげるには。

半分しか血が通わない、だけど大好きだった兄を助けるには。




初めて私のセーラー服を脱がしたのは、兄だった。







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