カラス君と黒猫さん2
『・・・私が、当麻君の居場所になってあげる』
『・・・・・・・・・・・・・・』
『何でも、何でも聞いてあげるから』
頬に落ちてきた冷たい雫。
『だから、なかないでよ・・・・』
その日から、私と兄はただの“兄弟”じゃなくなった。
一年、二年経って、次第に兄が崩れていく。
無理矢理、と言う時も少なくは無かった。
それでも、私は何とかして、あの時みたいな家族を取り戻したかった。
そして、高校生に入って、母の手により兄と私は離された。
そんな事してもより一層ふたりの亀裂が深まるだけだ、と思ったけど、内心ほっとしている自分も居た。
兄から逃げることが出来たんだ。
もう、兄と母の関係がどうなってもいい。
二度とあの時みたいに笑って喋れなくても良い。
ただ、心に虚しさだけが残った、高校一年生。
それが、わたしのすべて。