カラス君と黒猫さん2
手に持ってたパンを口に放り込み、飲み込む。
「どうしたの、黒猫さん。何か急いでるね」
「うん、ちょっと。そろそろ勉強しないと補習が入りそうでさ。カラス君は大丈夫?」
お茶を飲んで、口の中がさっぱりした所でバッグに手を掛ける。
数学が苦手なんだよなぁ。
「勉強かぁ・・・、授業を真面目に聞いてれば成績良いし、寝てるとがた落ち。波があるんだよね」
「頭良いもんね、カラス君」
「ずる賢さは黒猫さんに負けるよ」
担当の先生お手製の、数学の問題集を埃臭い床に広げた。
意味不明な数学記号が私を嘲笑う。
「教えてあげようか?数学なら」
水を飲み干しながらカラス君が言った。
「基礎くらいなら教えられるよ」
「本当?」
「黒猫さんより頭悪かったらごめんね」
「全っ然!!お願い!」
筆箱からシャーペンを取り出して、カラス君に差し上げる。
「じゃあ、おいで。」
「ん?」
「お約束でしょう?」
カラス君がその綺麗な顔で笑ったまま、自分の膝をぽんぽんと叩く。
シャーペンを顎に当てて笑う所が色っぽい。