カラス君と黒猫さん2


手に持ってたパンを口に放り込み、飲み込む。


「どうしたの、黒猫さん。何か急いでるね」

「うん、ちょっと。そろそろ勉強しないと補習が入りそうでさ。カラス君は大丈夫?」


お茶を飲んで、口の中がさっぱりした所でバッグに手を掛ける。

数学が苦手なんだよなぁ。



「勉強かぁ・・・、授業を真面目に聞いてれば成績良いし、寝てるとがた落ち。波があるんだよね」

「頭良いもんね、カラス君」

「ずる賢さは黒猫さんに負けるよ」


担当の先生お手製の、数学の問題集を埃臭い床に広げた。
意味不明な数学記号が私を嘲笑う。



「教えてあげようか?数学なら」


水を飲み干しながらカラス君が言った。


「基礎くらいなら教えられるよ」

「本当?」

「黒猫さんより頭悪かったらごめんね」

「全っ然!!お願い!」


筆箱からシャーペンを取り出して、カラス君に差し上げる。



「じゃあ、おいで。」

「ん?」

「お約束でしょう?」


カラス君がその綺麗な顔で笑ったまま、自分の膝をぽんぽんと叩く。
シャーペンを顎に当てて笑う所が色っぽい。



< 46 / 87 >

この作品をシェア

pagetop