カラス君と黒猫さん2
「ふうー」
「お疲れ、もう帰っていいぜ」
現在、午後10時半。良い子は寝る時間だ。
腰に巻いてあるエプロンを外した。
「雅はまだここに居るの?」
「んー、少し仕事してからあと全部高見に任せようかなーなんて。」
「高見さん任せ?」
「あぁ。」
煙草を咥えながら豪快に笑う、金髪坊主を横目に見ながら制服のジャケットを羽織る。
もう春なのに、夜は真冬並みに冷える。
「お疲れー雅」
「おう、じゃあな」
フロントに置いてある机に肘をついて、煙草をふかしている雅に手を振った。
〝LAURA〟の大きい入り口を押し開けた。
「・・・・さむい・・・・・・・・」
外に出た途端、刺す様な寒さが私を襲う。
白い息を吐き出して、空を見上げた。
寒い夜って、空に雲が無くて星が見えやすい。
まぁ、結局都会の明るさのせいで見えない星もあるけど。
顔を元の位置に戻して、絶対人が通りそうもない裏路地を伝って、駅に出た。