カラス君と黒猫さん2
「良かったら、一緒に食いに来る?」
「作ってくれるの?」
「一人分増えたってそう変わらないよ」
「食う!」
丁度お腹空いてた所なんだよね。良かった。
「琴羽まったく家に帰って来ないもんなー」
困ったように当麻くんが笑った。
全然悪意がある顔じゃない。
「だって帰っても誰も居ないじゃんー」
「帰る時間が悪いんだよ、きっと」
笑顔を作って、ちらりと当麻くんの顔を見遣った。
母さんと当麻くんの仲は以前より良くなったのかな。なんて。
「琴羽“カラス君”とは仲良くやってるの?」
どきり、とした。
同じ様な事気にしてるんだなぁ。
「うん、仲良くやってるよ」
「それなら良かった。良い人捕まえたね」
「捕まえたって」
笑う当麻くんをぼんやりと見る。
あぁ、変わってないなぁ。
でも前よりは優しくなったかな。
今も昔も大好きだった“お兄ちゃん”のままだ。
このまま、昔の事なんかを忘れて生きて行ければいいのに。