カラス君と黒猫さん2
「俺が何しても、なにも言わなかった」
「うん」
「“家族”の形は琴羽が作ったんだなぁ、って今更思ってるよ」
「・・・・・・うん」
「今までごめんね、ありがとう」
顔を上げたら、当麻くんが泣きそうな顔で笑ってた。
(・・・・・言おう、私も私の思いを)
「私は、父さんが居たときの“家族”が大好きだった。」
「俺もだよ」
「でも、父さんが居ないのと居るのじゃ状況が全く違った。当麻くんは母さんの子供じゃないって知ったし、半分しか血が通わない事も知った」
「うん」
「沢山犯されても、何言われても、顔に出さなかった」
箸を机に置く。
心臓が驚くほど高鳴ってる。
「・・・当麻くんの泣きそうになる顔が、嫌いだったんだ。自分を押し殺しそうになる、あの顔を、私は救いたかった。
結局、私が助けれた事は何もないけど、だけど、これからは普通の“きょうだい”として、私を好きになって」
当麻くんの長い腕が伸びる。
大きい胸の中に収められた。
「初めて、琴羽が本当のこと言ってくれたね」
「当麻くんも」
温かい胸に、顔を押し付ける。
心臓の音が聞こえた。
『だから、なかないで』
「もう、なかないで」
中学生の時の私は間違ってなかった、そう思いたい。