カラス君と黒猫さん2
固く目を瞑った。
きっと走るであろう衝撃に耐える為、何となく手も握り締めて。
「・・・・・・何してるの・・・・・・」
耳に響く、低い声。
さっきまで笑っていた女子の声色が変わった。
「っ、うわっ・・・・・・・」
ぎりぎり放り出された体は浮いていて。
あぁ死んだのかな?と思って、閉じていた目をゆっくり開けたら、すぐ目の前に。
「カラス、君・・・・・・・・・」
「危なっかしいね、黒猫さんは」
綺麗な顔を緩ませ、優しく笑うカラス君の姿。
足元にはカラス君の教科書が散乱していた。
「カラス君・・・・・・」
くるくる女とその仲間が、ただ抱かれている私と、格好良く登場したカラス君を呆然と見ていた。
「何で、黒猫さんが階段から落ちそうになってるの?」
私を下ろす事無く、そのまま持ち直して、カラス君はギャル達に面向かってそう言った。
ギャル達の視線が漂い始める。
「・・・・・・俺の彼女だって知ってて背中を押したの?」
何となく気配を察して、カラス君が責めるようにギャル達に言う。
ギャル達は視界の端にカラス君を捉えながら、俯いた。