カラス君と黒猫さん2




固く目を瞑った。

きっと走るであろう衝撃に耐える為、何となく手も握り締めて。



「・・・・・・何してるの・・・・・・」


耳に響く、低い声。
さっきまで笑っていた女子の声色が変わった。



「っ、うわっ・・・・・・・」


ぎりぎり放り出された体は浮いていて。

あぁ死んだのかな?と思って、閉じていた目をゆっくり開けたら、すぐ目の前に。



「カラス、君・・・・・・・・・」

「危なっかしいね、黒猫さんは」



綺麗な顔を緩ませ、優しく笑うカラス君の姿。
足元にはカラス君の教科書が散乱していた。



「カラス君・・・・・・」


くるくる女とその仲間が、ただ抱かれている私と、格好良く登場したカラス君を呆然と見ていた。


「何で、黒猫さんが階段から落ちそうになってるの?」


私を下ろす事無く、そのまま持ち直して、カラス君はギャル達に面向かってそう言った。

ギャル達の視線が漂い始める。



「・・・・・・俺の彼女だって知ってて背中を押したの?」


何となく気配を察して、カラス君が責めるようにギャル達に言う。

ギャル達は視界の端にカラス君を捉えながら、俯いた。




< 62 / 87 >

この作品をシェア

pagetop