カラス君と黒猫さん2
チャイムの音が鳴った。
途端に広がった静寂に、何だか私も緊張してきた。
「・・次、そんな事があったら許さないからね」
「・・・・・・・・・・・・・・」
カラス君は静かに言い放つ。
怒鳴られるなんかより、百倍緊張感が違う。
そのままカラス君はギャル達に背を向けて、渡り廊下の方に歩いて行った。
「か、らす君・・・・・・・・・・」
落ちた教科書はそのままだけど、大丈夫?なんて聞ける訳がない。
カラス君は今、静かに怒ってるんだ。
何となくそんな予感がする。
そのままカラス君は廊下に出て、“第一音楽室倉庫”の扉を開けた。
そこでやっと、下ろされる。
「あ、ありがとう・・・・・・・」
「黒猫さんは、身の危険とかを感じないの?四、五人で囲まれて、何で立ち向かおうとするの?」
見上げると、カラス君の不機嫌そうな顔。
「ご、ごめん・・・・・・・・」
「俺が来てなかったら、また顔に傷作ってたかもしれないんだよ?」
あぁ、怒ってる。
初めて怒られた、カラス君に。
「だって、あの女、馴れ馴れしいから。」
「馴れ馴れしい?」
そして、つい零してしまった言葉に、私は後悔した。