カラス君と黒猫さん2
「何が、馴れ馴れしいの?」
痛恨のミス。
馴れ馴れしい、なんて言わなければ良かった。
「“カラス君”って呼ばれてるのに嫉妬した」なんて言える訳が無い。
あぁどうしよう。
どうやって抜け出そう。
「・・・・・・しゃ、喋り方とか・・・・?」
「何で疑問形なの」
無意識に、顔が熱くなる。
やばい、今赤いかも。
不思議そうに見下ろしてくるカラス君と、目があわせられない。
「・・・・・、カラス君、・・・・・・」
「何」
まだ不機嫌そうなカラス君を、手招きする。
そして、近くなったカラス君の耳元に、口を近付けた。
「・・・・・・・・“カラス君”って、他の女子が言うのが、やだ」
何となく、小声になって言ってみた。
(うわああああ恥ずかしい)
自分で言ってみて、顔が急速に熱くなった。
冷たい手で頬を冷ます。
「・・・・・・恥ずかしいこと言わないでよ・・・」
「私だって今すっごい恥ずかしいからね」
視線をカラス君に向けると、カラス君も困ったみたいに赤くなっていた。