カラス君と黒猫さん2



「・・・当麻くん、に会ったんだ」


一瞬カラス君は表情を固めた。
あぁそうだ、カラス君の当麻くんの印象は、良いものじゃなかったっけ。



「え、大丈夫なの・・・・・・?」

「うん、ご飯一緒に食べただけ。何もされてないよ」


カラス君の表情が緩んだ。
こう言う、優しい所が一番カラス君らしくて好きなんだ。



「色々、当麻くんも考えてたみたいで。もう、二度とあんな事しないって言ってた。
ちゃんと、普通の“兄弟”に戻れるんだよ」



カラス君に、笑ってみせる。
カラス君の顔の緊張が解けて、頭を撫でてくれた。



「よかったね、黒猫さん」

「うん、良かった」



優しい笑顔が私に向けられる。
カラス君の笑顔に、嘘はない。


撫でてくれる手に力が入って、引き寄せられた。



「黒猫さんが前よりも、楽しそうな顔になった。俺は、一番それが嬉しいよ」


耳元で、カラス君が囁く。
顔が急激に熱くなった。



「恥ずかしいじゃん、赤くならないでよ」

「カラス君が言ったんでしょ」



カラス君との距離が、近い。
けど、カラス君の熱が伝わる。


幸せ全開。



< 66 / 87 >

この作品をシェア

pagetop