カラス君と黒猫さん2
「カラス君カラス君、大好き」
「うん、知ってる」
カラス君の広い背中に手を回して、力一杯抱きしめた。
カラス君も抱き締め返してくれる。
心臓が、どきどき高鳴った。
ふわり、とカラス君の髪が顔を擽る。
「・・・琴羽さん、」
顔を上げた。
照れ臭そうに苦笑してるカラス君の顔が映った。
「やっぱり、照れ臭いなぁ。ずっと“黒猫さん”だったから」
「私もカラス君のこと、カラス君って呼んでたから名前じゃ呼びにくいね」
いつか、カラス君のことを、“須王くん”って呼べる日が来るのかなぁ。
きっと、今は恥ずかしすぎて死んじゃうから、無理。
でも、いつかきっと、名前で呼び合える日が来たらいいなぁ。そう思う。