フラスコ小世界
彼女は巻貝を
耳に当てた

何が聞こえるのか
貝などなくても
ここは波音に満ちている


「私はね、恥ずかしくない
生き方をしたいの。

恥じない生き方をしていれば、
研究者だってきっと
私のこと、認めてくれるわ」


君は何を認めてほしいのだろう

君が培養液と呼ぶ、
命のにおいがする海の
その向こう側

そこにいるのは
人の形をしたものだとは限らないというのに



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