恋人は王子様!?
あっ、忘れてた。
「裕ちゃん」
「ん?」
髪を優しく梳いている。
「あ、あのね」
「ん」
「此処に来る前にね」
「……」
「由美さんに会ったの」
裕ちゃんがピクリと
「由美に」
「うん」
「何か云ってたか?」
「私に…謝ってた」
「えっ?」
「『裕則にあんな事を云わせたのは私だから』って」
「……」
「由美さんには何の関係もないって云ったんだけど…」
「そうか」
「それから、裕ちゃんに会ったら伝えてって」
「ん?」
「『私は幸せだから裕則も幸せになって』って…由美さんねーとっても素敵な恋人さんと一緒だったんだよ」
「由美に恋人」
「裕ちゃん…妬ける?由美さん…凄く綺麗だったよ」
もしかしたら裕ちゃん…やっぱり…
「バ~カ!由美に恋人がいるって聞いて嬉しいんだよ。…俺は由美も…傷つけたから」
「裕ちゃん」
「俺…サイテーだな。お前と由美…二人とも傷つけた」
「……」
「だから…由美に恋人がいて、幸せなら俺は嬉しい」
「…うん、そうだね」
由美さん、ほんとに幸せそうだった。
あんな優しく微笑むのを初めて見たもん。
あの隆史さんに愛されて、愛してるんだと思う。