恋人は王子様!?
「ま、いいか」
「……?」
よく分かんないなぁ。
あっ!
「裕ちゃん、大変!」
私がいきなり離れたから驚いて
「どうした?」
「もう帰らなきゃ。九時前だし」
「……」
「今日はありがとうね。い、一緒に ク、クリスマスイヴ…過ごせて…嬉しかったよ」
「もう、帰るのか?」
「あまり遅くなるとお父さん達が心配するから」
「仕方ないな」
「…うん」
裕ちゃんがソファーから立ち上がり
「菫、これ」
「うん?」
裕ちゃんが差し出したのは指輪のケース
「要るだろ」
「あ、そうだね」
ずっとはめていたいけど、学校があるし。
ケースを取ろうとして手を伸ばしたら、その手を捕まれて…抱き寄せられた。
「学校があるから仕方ないけど…冬休みの間は…はめてろよ」
「う、うん」
「正月、やっぱり俺ん家に行ってるのか?」
「うん…三日にやっぱり三人で行ってるよ」
「じゃあ、待ってる」
今年までは、私が来るからと出掛けてくれてた。
「うん。三日に逢えるね。 あっ、裕ちゃん」
「ん?」
「指輪はめてて、お母さん達に聞かれたら…どうしよう?…やっぱり駄目だね。裕ちゃん 先生だから、お母さん達心配する」
いくら裕ちゃんの事がよく分かってるお父さん達でも、今の裕ちゃんは私の先生なんだし…
「…そうだな。おじさん達に心配かけるのは…お前が無事卒業したら…おじさん達に挨拶に行くから」
「裕ちゃん…」
「指輪は…そうだ!寝る時にはめて」
「寝る時に?」
「ん」
「…そうだね。そしたら夢の中で逢えるかも」
「フッ そうだな」
唇が…重なった。
……
…