恋人は王子様!?
「試験前には深呼吸して、落ち着いてな」
「うん…って、何か裕ちゃんの方が緊張してない?」
さっきとは反対になった気が…
「お前のが移ったんだ」
「……」
「じゃあ今日は終わろうか」
「はい。蓮見先生、ありがとうございました」
「…送ろうか?」
「うん」
「えっ!いいのか?」
自分で送るって云ったのに、OKしたらビックリしてる。
「うん…もしよかったら送って下さい。暗くなってるし」
もう六時前だし
「………い」
「ん、何て?聞こえなかった。何て云ったんだ?」
もう、恥ずかしいのに…もう一回云うの。
「一緒にいたい」
「……」
私…真っ赤。
顔を見られたくなくて俯く。
「菫」
「……」
「顔 上げて」
上げられないよ。
首をぶんぶん振る。
「フッ 菫」
顎に手を掛けて、顔を上げて
そっとキスを落とした。
……
…
「ひ、裕ちゃん…だ、駄目だよ。此処…学校だよ」
慌てて離れると
ニヤッと笑い
「もう遅い。キスした後だ」
た、確かに。
「さ、行くか?」
「はい。じゃあ先生の車の所で待ってます」
「ん?」
「やっぱり誰かに見られたら駄目でしょ」
「……」
「ね!」
「…分かった。すぐ行くから」
「はい」