恋人は王子様!?



「姫…」


『姫』


私が泣いてる時、いつも


「姫なんだから、泣いたらおかしいよ…菫は姫なんだから…僕の姫だから…姫には僕が…王子様がいるから泣いちゃ駄目だよ。ねっ!」


子供の頃そう云って慰めてくれた。


いつも私の王子様だった。


ううん、今も私の王子様。


「うん、大丈夫。…やっぱり緊張してるみたい」


「……」


「裕ちゃん…ありがとう」


「菫…」


「明日、頑張るね」

「あぁ」


「じゃあ、もう寝るね」


「ゆっくり寝ろよ。…菫」


「うん?」


「俺がついてるから」


「うん」


「愛してるから」


「…うん」


電話を切って…


裕ちゃん…


私…強くなりたいよ。


もう、あの時の事を思い出して、恐がる事から卒業したいよ。


裕ちゃんを愛してるから…


裕ちゃんに愛されてるから…


……





はぁ~


今は明日からの試験だけを考えよう。


何が何でもいい成績取りたい。


自分の為だけじゃなく、裕ちゃんの為にも。



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