恋人は王子様!?



ピンポーン


ピンポーン


「はい?」


「…菫です」


「菫?」


声がかすれてる。


大丈夫なんだろうか?


「今、開ける」


ロックを解除してもらい、五階へ―


裕ちゃんの部屋の前で


ピンポーン


ガチャッ!


「菫」


「……」


「あっ、早く入れ」

「う、うん」


裕ちゃんは見るからに辛そうで


「裕ちゃん…ごめんね、起こしたみたいで」


「大丈夫」


全然大丈夫じゃない。


「裕ちゃん、ベッドに入って、ね」


「…あ、あぁ」


寝室に入り、ベッドに寝かせた。


「熱は?」


「あぁ、37度5分」


「高いねぇ。声もかすれてるし…いつから?」


「土曜の夜くらいからおかしいなと思ってたら、昨日、いきなり38度」


「お医者さんは?」


「昨日は休みだったから今朝行って来た」


「あ、水枕替えるね」


水枕を持って台所へ―


裕ちゃんが風邪引いてるのも、苦しんでるのも知らなかった。


電話しないなんて云ったから…


土曜は無理でも昨日の晩に掛けたらよかった。


私…裕ちゃんに我が儘ばかり云って困らせて…いざという時、何の役にも立てない。




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