恋人は王子様!?



「ヒ、ヒャ~」


朝御飯の支度をしてると後ろから抱きしめられ


「おはよう」


「裕ちゃん、離して、御飯の支度しなくちゃ」


「だ~め」


『だ~め』って…



「お前、嘘ついたろ」


「嘘?嘘なんてついてないよ」


私が何嘘ついたのよ?


「早く起きないと間に合わないって…まだ充分時間あるだろ」


そういうことですか?


「だって裕ちゃんが起きないからでしょ。早い目に起こしてちょうどじゃない」


「開き直るんだ」


開き直るって…人聞きの悪い。


「とにかく離して下さい。朝御飯食べなきゃ」


耳元で


「お前が食いたい」

な、何を!


「ゆ、夕べあんだけ食べたでしょ!」


「……」


「……」


あっ…いらないこと云っちゃった。


慌てて手で口を抑えるけど、もう遅い。

バカな菫。


「クククク…ハハハ…」


大爆笑してる。


「ひ、裕ちゃん…そんなに笑わなくても…」


「クククク…た、確かに夕べはいっぱい食ったがな、朝になったら腹は減る」


「だから、朝御飯」

「飯じゃなく…菫に飢えてる」


私に飢えてるって…


「と、とにかく今は胃袋の飢えを満たして下さい」


もう!


いくら夫婦でも恥ずかしいじゃない。


「分かった」




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