恋人は王子様!?



初補講の日


菫が緊張しながら部屋に入って来る。


まずは勉強だ。


やらせた課題をチェックしてると


……ん?


視線が…


俺がチェックしてる課題を見てるのか?

……





違う…


俺の顔を見てる。


どうかしたのか?


俺が菫を見ると、何か慌てふためいて…赤くなってる。


菫…


もしかして…俺を意識してるのか?


「ん、これでOKだ」


「あ、ありがとうございます」


プリントを慌てて片付けてる。


「じゃあ、今日はここまでにしようか。日も暮れて来たし」

「はい」


「これを来週までに」


「はい」


俺と目を合わせようとしない。


「菫」


「……」


「どうした?顔が赤いぞ」


「あ、暑いからじゃないですか?」


暑い?


今日は…涼しいぞ。

「菫…」


「せ、先生、そういえば島先生の後輩なんですね?」


島先輩…何で島先輩の話しなんだ。


「あぁ、大学のな。先輩に聞いたのか?」


「あ、はい。島先生が蓮見は優秀だって」


「へぇ~先輩が褒めてくれたか。…菫は先輩と親しいのか?こないだは体育の先生だと云ってたが…」


親しすぎるような気がする。


「あ、それは」


「……ん?」


「一年の時の体育の授業中や…他の時でも貧血を起こして、先生にしょっちゅう保健室に連行されてたから…」


貧血で倒れてた?


そんなにしょっちゅうか?


「だから、治ってからも、気にかけて下さるんです」


……





胸がもやもやする。

俺よりも菫に近い男がいる。


それが先輩でも…嫉妬してる自分がいる。



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