恋人は王子様!?
「…れ、菫って」
へっ?
「何、トリップしてんの?出来たのか?」
いけない!
今は補講の真っ最中だった。
顔を上げると
…先生の怖い顔。
「す、すみません」
「…ん、どうした?心此処に在らずって感じだぞ」
「……」
「今日はもう止めるか?」
「い、いえ。やります。ごめんなさい。一生懸命やりますから…」
「……」
「き、嫌わないで」
裕ちゃんに嫌われてしまった…
ど、どうしよう?
「菫」
顔が上げられない。
顎に手をかけられ、目線を合わせる。
「何でそれくらいで嫌いになるんだ?」
「……」
「ん…菫」
「だ、だって…裕ちゃんの云うこと聞かなかったから…面倒臭い」
「そんな事、思うわけねえだろ」
「ほ、ほんと?」
「あぁ、例え菫が俺を嫌いって云っても、菫は俺の姫だから」
「…裕…ちゃん」
「ん?」
「私、いっぱい我が儘してるよね。卒業するまで待ってとか…嫌にならない?うっとおしいとか思わない?」
「思うわけない!それも全て俺の事を考えてくれてるからだろ?」
「……」
「お前は、俺に愛されてると自信を持ってればいいんだ。いいな」
「裕ちゃん…」
「ん?」
そっと抱きしめてくれる。
「あ、あ、愛…してる」
裕ちゃんの背中に腕を回し…抱き着いた。