Dear.幽霊の君。
「もうっ!最悪!」
ズブ濡れドロドロの制服は保健室の先生に頼んで洗濯中。
体操着姿で、おでこには大きい絆創膏、鼻には小さい絆創膏。
肘と膝には普通サイズの絆創膏。
唯一シップ薬なのがほっぺた。
どう見ても女の子がする事じゃない。
しかも、イケメンっぽい男の子にパンツを見られた。
がっつり、パンツを見られたのだ!
「ホント最悪・・・。今日早退しようかなぁ」
「なぁーに言ってんの!パンツくらい見られたって平気だよ!」
この慰めになっていない慰めをくれるのが、あたしの親友・安田美仔(やすだ みこ)。
「いいじゃん、美仔は美人なんだからさぁ」
「あはは、それ関係なくない?」
と、笑う顔も眩しくて直視できない。
美人すぎるんだよっ!
「でもさぁ、友梨香もゴリラ柄のパンツはないよ~」
「だって見られると思ってなかったし。見せる気もなかったし!」
「でも、ゴリラ柄って普通はあんなリアルなゴリラ柄じゃないよ」
「むぅぅ・・・」
一蹴されて何も言えなくなった。
「ま、17歳にもなってリアルなゴリラ柄パンツをはく友梨香の勇気に乾杯!」
「うわ、それ嫌味っぽーい!」
そう言いながら、美仔が自販機で買ってきてくれたパックの紅茶で乾杯する。
すると。
ガララッ――――――
保健室の扉が開いた。
「あぁぁっっ!!!!!」
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