優しいなんて、もんじゃない



美月さんが、出来る限り陰を薄くして弥生さんの後ろに隠れて仕事をしていた私を目ざとく見つけ話題を振った。


背中を向けていた私は、振り返って挨拶をした方がいいのだろうか。




そう思って躊躇っている内に、弥生さんが力強く私の身体を反転させ自分へと引き寄せた。


美月さん達の前に差し出されるような形になり、何となく恥ずかしい。



「…あー、誘いたい。」

「ヤメテよ。この子そういうの興味ないから。」



意味の分からない会話を交わされ、おまけに美月さんは顎に指を添え私を舐めるように見てくる。


居心地の悪さが最高潮に達する。あまり、こうやって視線を集められることは好きじゃない。



小学生の時、問題の答えを言えと当てられれば毎回の如く舌打ちをしていた。




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