優しいなんて、もんじゃない
思っていたことを聞いてみてもいいだろうか?いや、聞かなくても自分自身確信を持って答えは分かっているのだが。
弥生さんの口から、ここにピアノがある理由を聞きたかった。
だって、このピアノは私のものなんかじゃない。このピアノを見つめるときに弥生さんの目は、彼のそれと似ていたから。
「…弥生さん、弥生さんと滝さんは…」
「……うん。多分、アンタが思ってる通りだと思うわよ。」
―――私と菊名は、高校時代時付き合ってたのよ。
そう言った弥生さんは、酷く懐かしそうに微笑を零した。