優しいなんて、もんじゃない



そう、来客の名は藍。


昨日は一応さん付けして呼んでたけど、なんか無性に腹立つから遠慮なく呼び捨てにしてやる。




お互いに眼光鋭くして視線を交えているから。再会して早々に睨み合い開始。

今日は黒色のニット帽を被り黒縁眼鏡をかけている藍は、ぱっと見その性格の悪さは隠されている。



なんだそれ、眼鏡の力か。とは言っても、私にとって腹立つには変わらないから奴のお洒落なんてどうでもいい。




はあ、と小さく溜め息を吐いた藍は私から視線を逸らしてそれをカウンターの方へ。



「こんばんは、弥生さん。」

「え、…あれ?…、藍…?」

「そーっす。」



ペコリ、小さく頭を下げた藍は驚きに目を見開く弥生さんがいるカウンターへと近付く。


何だ、弥生さんの知り合いだったのか?若干不審がりながらも、私はテーブルを拭く。




と。


ここで藍の口から飛び出した言葉に、私の動きはピタリと止まった。





「ピアノ弾く、弥生さんのいとこってどの子っすか?」



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