優しいなんて、もんじゃない
「…ユウ、あんたもしつこいわね。」
「美月、菊名さんには俺が頭下げる。だからお願い。」
「……。」
「優を孤立させないで。」
どういう意味だろうか。話の中心に私が置かれているのは分かるのだが、私を孤立させないで、とか。
ユウの言ゔこっぢという世界が私には分からない。
と、簡単に思考をシャットダウンして放棄してしまえれば一番楽なのだが。
私だってそこまで馬鹿じゃない。ユウの言ゔこっぢという場所がどういう所なのかそらはうっすらと確信していた。
それはきっと。
―――滝さん達が、いる世界だ。
いつの間にか俯いてしまっていたらしい私の名を呼ぶ、低く落ち着いた声に顔を上げた。
声の主は助手席にいる藍で、「何?」と答えた声は私らしくなく掠れて消え入りそうになっていた。
「ちょっと、外出ろ。」
「……でも、」
「いいから出ろっつってんだ。…甘ったれには、教えてやんねーといけねえこともあんだよ。」