優しいなんて、もんじゃない
AM 00:09「珍客」
翌日、大学終わりの私は校門前で待ち伏せしていた弥生さんに連れられ勤務時間より早めに店まで引きずられた。
開店時間まで散々こき使われて、いざお客を迎えるというときにはすでにくたびれていた。
「弥生さん、あなたマスターでしょ。」
「そうだねー。」
「片付けや掃除くらい自分でしろ。」
「おい、言葉。」
なんて人だ。言っちゃ悪いが女としてどうなんだしかも経営者として自分の店の掃除一回は自分でしてみろよ。
弥生さん前に盛大に溜め息を吐き出してやれば拳で頭を殴られた。逆ギレだ。
開店して、今日のお客さんは見たことある顔もいれば初めての人もいる。
皆、それぞれ酒を楽しむ。弥生さんはその雰囲気が好きだと前言っていた。