優しいなんて、もんじゃない
PM 19:00「開店」



カラン、心地良いカウベルの音が小さく店内に響く。


入ってくるのは若者から中年まで、様々な年齢層の両性。さっき入ってきたのはほんのりと頬を赤くした20代半ばくらいの男性客2名。



おそらく、ここに来る前にもどこかで一軒のんで来たんだろう。




「優、いつものお願いー。」


と。

グラスを拭いていた私の隣でお客の相手をしながらお酒を作っていた背の高い女性が私に笑いかけた。



それに頷いて返し、私はグラスを棚に置いて黒いロングのエプロンを外し畳んで椅子に投げる。




「こら、優。」

「バイト代追加、ね。」


ゆるく戒める声を制するように、軽く言葉を投げ切り捨てた。




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