優しいなんて、もんじゃない
PM 23:58「遭遇」
「…あ。あーーッ!!」
「………。」
店内に高揚した大きな声が響く。店員さんや不良系の男女のグループの視線が嫌でも注がれる。
どうしてお前がここにいる。てか指さすな。
私は今、いとこのオバサンが「どうしてもハンバーガーが食べたい」と駄々をこねまくるから近所のファーストフード店に来ている。
の、だが。
その長い足を有効活用して私に歩み寄ったソイツは、今日は身を屈めない。見上げれば、目元を隠す大きなサングラス。
小顔だな、サングラスで顔の半分隠れてるなんて観察していれば。
「どうしたの、優!」
「ウルサイでかい声出すな馬鹿。……弥生さんに頼まれたのよ。」
「そうなんだ?俺もだよ。パシリだね。」
「黙れこんにゃく。」
おい私。何を言っているんだ、何だよこんにゃくって。
…まあ、コイツがふにゃふにゃしてるということが第一で。