優しいなんて、もんじゃない



また柔和に微笑んだユウのその甘すぎるフェイスに、どうしたんだと少し困惑した。


今日のユウは、なんか、何時もと比べてふにゃふにゃしすぎてる。気持ち悪い。



じっと視線は絡ませたまま、私は無表情で。ユウは笑顔を浮かべたままの状態で見つめ合う。



「……。」

「……。」

「(…なんか喋ってよ。)」

「(あ、やばい。優なんか苛ついてきてる?)」

「………じゃあ、」



無言が続き、その空気に耐えかねなくなり先に沈黙を破ったのは私だった。くるり、踵を返そうとした私の背中に投げられるユウの焦ったような声。




「優、待って。」

「……用件。」


はあ、小さく溜め息を吐きながらも振り返った私を優しい眼に映し込んだユウ。




「これから、俺とデートしませんか?」



す、といきなり指と指を絡めるように繋がれた手に私の心臓がドキンと跳ね上がった。



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