優しいなんて、もんじゃない
その手を取ろうかどうかで迷っていると、急かすユウは強引に私の手を取って歩き出す。
「わっ、」なんて声を発しながらも必死に脚を動かしてユウに着いて歩く私を見。嬉しそうに微笑んだユウの笑顔に胸がドキリと甘く跳ねた。
「どこ行こっかー?」
「…どこでも。」
「んー、じゃあ俺の部屋にでも…」
「やっぱ帰るさようなら。」
「嘘嘘!いや、半分本気だけど…でも半分冗談だから優ってば!」
「下心は?」
「………アリマシタ。」
私の問いかけに気まずそうに視線を逸らしたユウに、軽蔑にも似た視線を送ってやる。
ついでに、やんわりと解いてやった手。ボソリと呟いた言葉にユウは本気で慌てだした。
「…死ね。」
「そんなに…!?ごめんッ!もう言わない、…とは言えないけど努力するから!!」
「……。」
ユウは、なかなか理性の危うい人間らしい。