優しいなんて、もんじゃない



歩きながら、お互い横目に相手の顔を映す。じっとりとした(汚物でも見るような)視線を向ける私。


いや別に、本気で怒ってるわけじゃないけどさ。




気まずそうに視線を逸らして、若干肩を落とすユウ。ああもう、なんか私が悪いみたいじゃんかムカツクな。


「ユウ」と街の喧噪にのまれて消えてしまいそうな程の声量で呼びかけたのに、隣を歩く男は勢い良く私へと顔を向けた。



「なーに優…!」

「…うわ、」

「(え。うわって何、うわって。)」

「(目キラキラさせすぎでしょ。)」


そして、また暫くの沈黙が流れてしまうおち。



はあ、と小さく溜め息を吐きつつも。私は若干睨むようにユウを見上げ、不機嫌そうに言葉を吐き出す。



「…変なこと、しないって誓うなら。」

「、」

「……手、繋いであげる。」

「!!」



目を大きく見開き、私を今までになくガン見してくるユウ。それも何か奇っ怪なものでも見たかのように。失礼だ。



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