優しいなんて、もんじゃない



真っ直ぐに、ユウを見る男の目は本気で怒っている。ユウも、少しバツの悪そうな顔をしてゆるく視線を外した。


―――コイツ、仕事すっぽかしてたのか。



「…ユウ。」

「あ、うん?」

「仕事戻りなよ。何か忙しそうだし。」

「…。」



困ったように、だが明らかに嫌そうな顔をしたユウ。それをただ黙って見ている藍という男。

見た感じ機嫌悪そうだし、そろそろ本気でキレるんじゃない?




「仕事サボるのは、良くないと思う。」

「…、」

「…藍さん、だって困ってるじゃん。」

「…優ー…」

「そんな顔しても無駄。さっさと仕事行け。」



もう最後の方はシッシッと手を払うようにして「帰れ」と言う私。


ユウは当然ながら拗ねたような顔をしたが、仕事があると知ってるのに一緒になって遊ぶような空気の読めない女ではない。



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