優しいなんて、もんじゃない
黙りこくってしまったユウは当然ながら拗ねてしまっているわけで。不機嫌オーラ全開である。
小さく溜め息を吐きながらも、この子供顔負けな自己中さ加減にどう対処しようかと迷う。
「…藍のケチじじい。禿げろ。」
「前歯折るぞ!」
「禿げろ。禿げろ、禿げろ禿げろ禿げろ禿げろ禿げろ禿げろ禿げろ禿げろ禿げろ禿げろ…ッ!!!」
「死ぬか…?」
「こっち寄んなよー、禿げ症が遷る。」
「テメェは今すぐ死ね!俺の手であの世へ送ってやる!」
ぎゃあぎゃあと本っっ当に子供みたいな罵り合いを始める男2人に、頭が痛くなりそうだ。
まあ、藍さんに期待なんてこれっぽっちもしてなかったけど。第一、登場した時の叫び方は大人の対応なんて言葉は皆無だったから。
すれ違い行く人達の視線は、当然ながら騒ぎまくるこの2人に注がれるわけで。
恥ずかしい。いい大人が、恥ずかしい。
と。
途端、何故かざわめき始める空気に私は首を傾げた。