秘密のキスをしたとしても。



この頃から───。


この頃から私はお兄ちゃんのことが──好きだった。


兄妹愛とかじゃなくて、“異性”として──。


昔からお兄ちゃんは優しくて、頼りになって、私をいつでも助けてくれるスーパーヒーローだった。


それがいつしか恋愛感情に変わってしまった。


もちろん誰もこの事は知らない。亜美にも話していない。


親友の亜美には隠し事なんてしたくないけど、こればっかりはどうしようも出来ない事。


それに…、亜美に話したとして、引かれて亜美が私から離れて行っても嫌だから…。


だからと言ってお兄ちゃんが好きな事には変わらない。


大好きで、誰にもお兄ちゃんを渡したくない。


…だけどそれは私だけの理由で。


お兄ちゃんは私の気持ちなんてこれっぽっちも気づいてない…。


でも、気づかれてはいけない。


だって、もし気づかれたりなんかしたら、この平凡な生活が終わってしまうから──。


お母さんを悲しませる事だけはしたくない…。


だからこのままでいいの──……。



    
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