秘密のキスをしたとしても。
可愛らしい袋に包まれ、可愛らしい文字で書かれた“イチゴロール”。
あまりにも衝撃的で、イチゴロールをジッと見つめていると、購買のおばさんが口を開いた。
「イチゴロールパンね、今日から発売したのよ。ちょっとさっきに売り切れちゃったんだけど、偶然にもダンボールに一つ残っていてね」
ニコニコしながら言うおばさんの言葉に私は無償にこのイチゴロールパンを食べたくなり、手を延ばした。
イチゴロールパンを掴もうとした瞬間、誰かの手がパンを掴み、私の目の前から消えていった。
…えっ!誰?
そのパンを掴んだ人物を見ようと振り向いたが、後ろ姿しか見えない。
綺麗な茶色い髪の毛に丸くカットされた髪型。
一瞬で覚えてしまった後ろ姿。
…私のイチゴロール!!