秘密のキスをしたとしても。
「なんだ、亜美かぁ。びっくりした」
ハハ、と苦笑いをしながら私は立ち上がる。
そんな私を見て亜美は小さなため息をついた。
「あたしの方がびっくりしたよ。こんな所にうずくまって居るんだもん。具合悪いの?」
大きな瞳をウルつかせて私に問う亜美。
…また、亜美に心配かけちゃった。
その問いに私は静かに首を振る。
「んーん。大丈夫。リア充が多いから酔ってただけ」
亜美にピースを向け、そう言った。
そして教室へと一緒に歩き出す。
「なんか今カップル多いよねー。高校生になったばかりだというのにさー」
席に着き、亜美が深いため息をつき、周りを見ながら言い放った。