秘密のキスをしたとしても。
自然と新しい蕾を見つけた君。
*thetext 自然と新しい蕾を見つけた君。
「あれ?花、食べないの?」
クリームパンを頬張りながら私が弁当に手を付けていないことに気づいた亜美が私に聞く。
「うん…。食欲なくて…」
はは、と苦笑いをし、手を付けていない弁当を片付けながら言う。
何かを勘付いたのか、亜美はクリームパンを机の上に置いて私の頭に手のひらを置いた。
「気晴らしするなら屋上がいいよ。空がぶわって目の前に広がっていて、風が気持ちよくて嫌なことなんて忘れるよ」
白い歯を見せ、笑いながら言う亜美。
そんな亜美を見て涙腺が一気に緩むのがわかった。
…亜美には何でもわかっちゃうんだね。
「亜美、ありがとう…」
そう静かに呟いて、私は教室を出た。