秘密のキスをしたとしても。
教室を出る前に亜美に持たされたジャムパンを片手に持ちながら私は屋上へ向かう。
ひと気の無い道を通り、最上階にある屋上のドアを開けた。
開けた瞬間、ふわっと暖かい風が私を包み込む。
入学してから初めて屋上に来た私からすると新感覚。
「凄い…」
フェンスまで歩み寄り、街の全体が見える景色に感動を覚える。
ふと下を見ると、中庭にカップル達が楽しそうにお弁当を食べていた。
「…いいなぁ」
もし、あのカップルが私とお兄ちゃんだったら、なんて心の中で思ってしまう。