秘密のキスをしたとしても。


* * *


昼休みの終わりのチャイムが鳴り、私は屋上で比陰くんと別れて教室に戻った。


後ろのドアを開けた瞬間、すぐさま亜美が磁石に引きつけられた様に抱きついてきた。


危なく後ろに倒れるところした…。


「亜美、苦しいよ」


「今の休み時間、ずっと心配してたんだから!あたしも一緒に行けば良かったって後悔した。…ごめんね、一人にして…」


亜美の言葉にジーン、と感動し、心に染みながら一旦席について屋上で比陰くんに出会ったことを説明した。


比陰くんの名前を出した瞬間、亜美はまん丸く目を見開き口をだらしなく開ける。


「遠山比陰って、一年で有名な人じゃん」


「え?何で?」


「花のお兄ちゃんに続くイケメン現れた!とかなんかで」


亜美からお兄ちゃんの言葉が出てきた瞬間少し吹き出してしまったが、それよりも比陰くんが有名だったということにビックリ。


まぁ…、確かに凄く整った顔だったけど。



    

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